<Zut-O-Pistes>
鬼才ドミニク・グリモー責任監修の良質音源発掘シリーズ‘ズュット・ピスト’。グリモー自身、70年代フランスの代表的なアヴァンギャルド・ロック・グループ、カミゾールの中心メンバーであり、80年代にはストレンジなエレクトロ・アヴァン=ポップ・ユニット、ヴィデオ・アヴァンチュールのリーダーであり、90年代にはブルース・プロジェクト、ピーチ・コブラーのギタリストだった。フレンチ・アンダーグラウンドの生き証人であるとともに学究肌の音楽マニアでもあるグリモーは、77年には68年の五月革命に端を発するフランスのロックに関する貴重な二巻本資料集 "Un Certain Rock (?) Francais" の著者としても名高い。ドミニク・グリモーのページはこちら

レ・バトリー『ノワシー・シャンのノイジー・チャンプス』

エトロン・フー・ルルーブランのギグー・シュヌヴィエ、フィッシュ&ローゼズのリック・ブラウン、そしてディス・ヒートのチャールズ・ヘイワード。
ドラマーだけの異色トリオの85年のデビュー・アルバムの初CD化!

 ギグー・シュヌヴィエ(エトロン・フー・ルルーブラン)、リック・ブラウン(フィッシュ&ローゼズ)、チャールズ・ヘイワード(ディス・ヒート)。奇才ドラマー3人からなる伝説的ユニット、レ・バトリー LES BATTERIES (=‘ザ・ドラムス’)の85年のデビュー・アルバム。三者三様のドラミングが三頭馬車のように力強く疾駆するドラムスのみの曲と、シュヌヴィエのサックスやヘイワードの強烈なヴォーカルとカシオトーンが加わるダイナミックかつメロディアスな曲が半々。ドラムスの可能性を追求しつつも仕上がりはポップ。ドラムスはもちろんのこと、ヴォーカルでも圧倒的な存在感を放つヘイワードが参加しているのは、このファーストのみ。ボーナス・トラックとして00年代のシュヌヴィエ+ブラウン(デュオ)とヘイワード(ソロ)の未発表曲を追加収録。国内盤ブックレットにはシュヌヴィエの仏語インタヴューを訳出し、さらにヘイワードのヴォーカル曲(4曲)の歌詞対訳を特別収録。

レ・バトリー/LES BATTERIES Locus Solus 国内盤 2,730
ノワシー・シャンのノイジー・チャンプス '75-'83 LSI 2114

V.A./V. A. Gazul 2,520
Assemblage de pieces comeladiennes du plus bel effet '09 GA 8692
アヴァン・トイ・ポップの巨匠パスカル・コムラードに捧げるトリビュート・アルバム『最も美しい効果を生むコムラード的断片の寄せ集め』。ベル・カント・オルケストラに在籍したピエール・バスティアン、キャシー・クラレ、ゼネラル・アルカザールや、コラボレーション経験のあるジャック・ベロカル、リシャール・ピナス、古くからの友人のファウスト、大友良英、ダヴィド・フェネシュ、トゥピデック・リモナード、ソワサン・テタージュ、マース・カニンガムらに加え、コムラードのエスプリを受け継いだ後続ミュージシャンたちが多数参加した全23トラック。それぞれに「コムラード的」だと考える作品を提供した結果、カヴァー曲よりもオリジナル曲が多くを占め、単なるトリビュートではない風変わりで魅力的なアンソロジーになっている。>>試聴する1 >>試聴する2 >>試聴する3

V.A./V. A. Gazul 2,520
Musiques Electroniques en France 1974-1984 '09 GA 8689
『フランスの電子音楽 1974-1984』。ただし現代音楽系電子音楽ではなく、シンセサイザー創世記のフレンチ・ロックの電子音楽作品(未発表音源、レア音源を含む)を集めたアンソロジー。エルドン/リシャール・ピナス、カミゾール/ヴィデオ・アヴァンチュール/ドミニク・グリモー、ヴェルト/ジャン=ピエール・グラッセ、ラード・フリー/ジルベール・アルトマン、パスカル・コムラード&デイヴィッド・カニンガム。VCS3やEMS/AKS、Mini-Moog、ARP2600、Odysseyといった往年の名機が醸し出す有機的な音色が素晴らしい。新種の楽器を手にした異才たちが、独自の音響探求と試行錯誤を繰り返しながら作り上げたサウンドは、オーソドックスな電子音楽とは異なる強烈なオリジナリティとクオリティを有している。>>試聴する1 >>試聴する2

パスカル・コムラード/PASCAL COMELADE Locus Solus 国内盤 2,730
バック・トゥ・スキゾ:'75-'83 '75-'83 LSI 2079
トイ・ピアノやトイ・ギターなど様々なおもちゃの楽器と、アコースティック楽器を用いたノスタルジックな独特のサウンドで80年代後半から人気を集め、さらにクリンペライやルク・ド・ブク、ドラジビュスなどの後継者を生んだ‘フレンチ・トイ・アヴァン=ポップ’の元祖パスカル・コムラード。本作は彼が‘トイポップ’と呼ばれるサウンドを確立する以前、75年から83年に制作された貴重な自主制作盤からコムラード自身がセレクトした初期作品集。電気オルガンやアナログ・シンセによる実験的なミニマル・ミュージックを制作していた70年代から、トイ・ピアノやアコースティック・ピアノを導入し始めた80年代初頭まで。デイヴィッド・カニンガム、ギャヴィン・ブライヤーズ、リシャール・ピナス(エルドン)らが参加。現在の一見可愛いサウンドの裏に隠された奇才のルーツと過激な側面を見ることができる。(解説:佐々木敦、パスカル・コムラード)>>試聴する1
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クリンペライ/KLIMPEREI Locus Solus 国内盤 2,730
パタモブ:'97-'01 '97-'01 LSE 2083
現在クリストフ・ペッチャナのソロ・ユニットとなっているクリンペライが、まだフランソワーズとのデュオ・ユニットだった97〜01年の未発表音源集。無垢さの中にどこか憂いを含み、それでいて健康的でもある、クリンペライのまさに充実期の名曲が揃っている。
ピアノやギター、笛、おもちゃの鳴り物などの素朴な音色にシンセサイザーやシーケンサーが色を添え、ブンチャカとしたワルツ崩れのリズムと変拍子が刻む「お散歩」のテンポに乗って流れる、愛らくも少しメランコリックなメロディー。その後、時と共に彼らのサウンドも変化してゆくが、ここにはデュオ時代のクリンペライの最も良質な部分が瑞々しく収められている。当時、週末ごとに二人のポートレイト写真を撮り、自宅で曲を作り続けたペッチャナ夫妻の「生活の記録」でもある。
鬼才ドミニク・グリモーによる良質音源発掘シリーズ「ズュット・オ・ピスト」の第二弾リリースにふさわしく、選曲・編集に加えクリアな音質も素晴らしい。
(解説:セバスチャン・モルリガン)。
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ピエール・バスティアン/PIERRE BASTIEN Locus Solus 国内盤 2,730
初期製作機械集:'68-'88 '68-'88 LSI 2088
ターンテーブルのモーターを動力に、「メカノ」(ボルトやナットで自由に組み合わせられる穴の開いた金属板やシャフト、滑車などからなる知育玩具)の部品と、様々な弦楽器や打楽器、とりわけコラやサンザといったアフリカの民族楽器を組み合わせて、「メカニウム」と称する自動演奏装置を制作する奇才アーティスト。パスカル・コムラードのベル・カント・オルケストラの初期メンバーでもあった。機械仕掛けでありながら生身の人間以上に有機的な息遣いを感じさせるメカニウムが発する緩いリズムや機械ノイズと共演することにより、たどたどしく調子外れで、気だるくユーモラスで、不思議に魅惑的な音楽を作り出している。本作はバスティアンがメカニウムを作り始めた77年から最初のアルバムを発表する88年までの未発表作品を含む初期作品、および68年に録音されたメカニウムの原点と言うべき貴重な音源から構成されている。(解説:ピエール・バスティアン、ドミニク・グリモー)>>試聴する1 >>試聴する2